営業職とは?仕事内容・役割・1日の流れまでわかる完全ガイド

営業職とは? 営業職について
営業職について完全解説。
ラフ
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「営業」という言葉は世の中にあふれていますが、実際には企業や業界、商材・サービスによってその実態は異なります。40代でキャリア見直しを図る人にとって、「営業職って何をやる?」をしっかり理解しておかないと、入社後に「思っていた仕事と違った……」というギャップに苦しむこともあります。特に未経験の方がチャレンジする場合はこの記事をぜひご覧ください。

本記事では、

  • 営業の1日(複数パターン)
  • 営業職に求められる役割・具体的仕事
  • 営業が持つ“複数の顔”
    を整理して、「営業ってこういう仕事なんだな」という理解の下地をつくることを目的としています。

営業職の立ち位置・一般像

まず最初に、「営業職」と聞いてイメージされる仕事像を押さえておきましょう。

営業職とは

営業職とは、企業と顧客をつなぎ、売上を生み出す役割を担う職種です。
具体的には、自社の商品・サービスを顧客に提案・販売・導入していく活動を通じ、会社の収益を担保する役割を持ちます。

営業は、企業経営の“前線”に位置する仕事です。
どれだけ優れた商品やサービスを持っていても、それを世の中に届け、価値を伝えて売っていけなければ意味がありません。営業の力量は、企業の成長や存続に直結することもあります。

ただし、「営業=飛び込み営業・テレアポだけ」といったステレオタイプなイメージは、今では狭い視点です。営業活動は顧客企業との関係構築、提案設計、案件フォロー、社内折衝など多様な要素を含みます。


営業の1日スケジュール例

営業といっても商材、顧客、業界、フェーズ(既存顧客中心か新規開拓か)などによって1日の動き方はかなり変わります。以下に、典型的なパターンを2~3例挙げておきます。

(※時間帯・アポイント数等はあくまで例です。参考としてご覧ください)


2.1 例:既存顧客フォロー重視型(BtoB)

時間帯主な行動
8:30 – 9:00出社/朝礼/メールチェック・スケジュール確認
9:00 – 10:00顧客A社への定期訪問(進捗確認・課題ヒアリング)
10:00 – 11:00顧客B社との打ち合わせ調整、提案書の修正
11:00 – 12:00部内ミーティング(案件共有や情報すり合わせ)
12:00 – 13:00昼休み
13:00 – 14:00顧客C社との訪問、ヒアリング
14:00 – 15:30提案書作成/見積書作成/社内調整
15:30 – 16:30顧客D社との商談フォロー、質問対応
16:30 – 17:30帰社(移動中にメール処理)
17:30 – 18:30自部署メンバーとの情報共有、翌日の準備
18:30 – 19:00日報作成、退社準備
19:00退社

このタイプは、顧客との信頼関係重視、深掘り型の営業が中心です。リピート受注や追加提案が主なミッションになります。

ちなみに私の前職の場合は概ね、このような感じでしたが午前中に事務処理→午後から営業というパターンが多かったです。また夜に顧客と会食というケースもあり、当然残業になりますが、終業時刻が遅くなることもしばしばありました。


例:新規開拓重視型(BtoB または BtoC)

時間帯主な行動
8:30 – 9:00出社、メール・スケジュール確認
9:00 – 10:00コールドコール/テレアポ(新規リストへのアプローチ)
10:00 – 11:00アポイント調整/既存案件フォロー
11:00 – 12:00新規展示会やセミナー等の準備
12:00 – 13:00昼休み
13:00 – 14:00訪問営業(新規見込み先への飛び込みや紹介訪問)
14:00 – 15:00顧客先で提案、商談(ヒアリング含む)
15:00 – 16:00顧客先で質疑応答・折衝
16:00 – 17:00移動中に報告メール・次回訪問の段取り
17:00 – 18:00帰社、見積作成・提案書作成
18:00 – 19:00上司との進捗報告、翌日の準備
19:00退社

新規アプローチ型の場合、アポイント獲得のためのアウトバウンド活動、飛び込み、テレアポなどが割合を占めることが多めです。

私の現職がこれに近いのですが、こちらも午前中に事務処理や商談準備、資料作成、打ち合わせが入り、午後から営業に出ていくか、テレアポをするかというスケジュールが多いです。


例:インサイドセールス・リモート営業型

近年、対面訪問を前提としない営業スタイルも増えています。

時間帯主な行動
9:00 – 9:30出社/在宅の場合は始業準備、メールチェック、スケジュール確認
9:30 – 11:00見込みリストに対する電話アプローチ/メール送信
11:00 – 12:00オンライン商談・ウェビナーでのヒアリング
12:00 – 13:00昼休み
13:00 – 14:30オンライン提案、商談進行
14:30 – 15:30契約書準備、社内調整・購買部門との折衝
15:30 – 16:30フォローアップメール、見込み顧客の育成活動
16:30 – 17:30チームミーティング、案件進捗共有
17:30 – 18:30結果振り返り、翌日のタスク確認
18:30終業

このタイプの場合、訪問移動がない分、提案書準備やフォローアップに時間を割ける傾向があります。また、対面で営業することがない分、オンラインでの信頼構築スキルや対話設計力が求められます。


営業職に与えられる役割と具体的仕事内容

続いて、営業職に与えられる役割と日常業務の構成要素を整理しておきましょう。

営業に期待される主な役割

  1. 売上創出
     最も明確なミッション。売上目標を達成することが第一義の責任です。
  2. 顧客との関係構築・維持
    単なる売買関係ではなく、信頼関係を築き、継続的な取り引きや追加提案を可能にする関係性を育てることが重要です。日々の依頼事の対応スピードなどで顧客側も営業に対する信頼度が変わってきます。
  3. 市場理解・情報収集
    顧客の業界トレンド、競合、技術動向などを把握し、ニーズを先取りして提案できるようにすること。社内・社外のソースがありますが、顧客からの情報も重要です。
  4. 社内調整・橋渡し
    提案を通すため、製造・開発・購買・法務など社内部門との調整を担う役割も重要です。これは会社に寄りますが、顧客対応より大変な場合があります。
  5. 顧客満足・クレーム対応
    納品後のフォロー、クレーム対応、改善提案など、顧客満足を守る責務も担います。営業職で一番いやな仕事の一つですが、「ピンチはチャンス」という考え方もあり、クレーム時の対応力はその後の関係構築がより深くなるケースもあります。
  6. 営業戦略の実践
    営業方針や戦略に則った戦術を現場で実行すること。時には戦略自体を上層部と一緒に考えることもあります。決まった方針に素早く対応することが求められます。

具体的な業務要素

以下は、営業活動に含まれる典型的な業務の要素です。

業務要素内容ポイント/チャレンジ
見込み客リスト作成・管理
(対上司・自分)
新規アタック先の選定、顧客情報の整理リスト精度・優先順位付けが成果に直結
アプローチ(電話・メール・DM・飛び込み等)(対顧客)見込み先に接触し、関心を喚起する初動の反応率が勝負を左右
ヒアリング(対顧客)顧客課題・ニーズの深掘り傾聴力・質問力が問われる
提案書・見積書作成(対顧客)顧客ニーズに即した提案を形にする論理性・わかりやすさが鍵
商談・交渉(対顧客)条件や価格交渉、導入スケジュール調整主張と巻き込みのバランスが必要
見積交渉・契約締結(対顧客)見積条件交渉、契約書締結リスクチェック・条文理解力も重要
導入・実行フォロー(対顧客)導入プロセス支援、課題対応顧客の満足度・信頼に直結
アフターフォロー・クロスセル提案(対顧客)継続契約、関連商材の追加提案顧客ファーストでの提案設計が求められる
顧客情報・案件管理
(対上司・自分)
CRMツールへのデータ入力、進捗管理正確性とタイムリーさが肝
社内調整・折衝
(対上司・社内別部署)
製造部門・開発部門・購買部門・法務などとの調整意思疎通力・説得力が試される
分析・報告
(対上司・営業部内)
売上分析、活動レポート作成データ読み取り力・改善提案力が求められる
戦略提案・改善活動
(対上司・営業部内)
営業手法改善、業務効率化、新チャネル検討主体性・発想力が活きる

これらの業務は「営業がすべてこれをやる」というわけではなく、会社規模・営業体制(内勤担当と外勤担当を分けているかどうかなど)によって分担される構造も多くあります。

中小企業になるとすべてをこなす場合が多く、ある程度大手企業になると部分的に分担されるケースがあるように思います。


4. 営業の「複数の顔」:顧客向け/社内向け

営業は、対顧客だけでなく、社内に対しても多様な顔や役割を持っています。ここを理解しておかないと、営業は“外でモノを売るだけの人”という誤解に縛られてしまいます。

顧客に向けた顔

課題発見者

顧客は自分たちの課題を明確に把握していない、あるいは言語化できていないことも多いもの。営業はヒアリングを通じて「この課題があるなら、こうした解決策があります」という気づきを引き出す役割を果たします。

提案者/説得者

顧客の課題を聴いたうえで、最適なソリューションを設計・提案し、納得・合意を導く存在です。価格・条件面の交渉や、導入計画の落とし込みまで含みます。

信頼維持者/フォロワー

導入後や取引中も、問題が発生すれば対応し、顧客満足を守る存在。クレーム対応や改善提案、定期フォローなどを通じて、長期的な信頼関係を築きます。

クレーム対応者

顧客からクレームやトラブルがあったときは、まず営業が窓口となることが多いでしょう。顧客の声を受け止め、社内を動かして解決を図る“火消し役”になることもあります。


4.2 社内に向けた顔

4.2.1 情報伝達者/インタフェース

顧客の声、ニーズ、業界トレンド、競合の動きなどを社内に持ち帰る役割。商品部門・開発部門・マーケティング部門などに、現場のリアルな声を伝える架け橋となります。

特に「顧客の声=マーケットの声→マーケティングにつながる」となり、マーケティングをする上で営業職をしていることが強みになるケースもありますし、会社によってはマーケティング部署に行くために営業職を何年か課すところもあるようです。

調整者・折衝者

顧客の条件を通すため、社内に根回しや提案調整をする必要があります。たとえば、コスト見直し、部品調達、納期短縮、法務リスクの処理、アフター体制の整備など社内関係部門と緊密に折衝することが日常です。

戦略参画者・改善提案者

営業現場で成功したノウハウ、顧客の反応を元に、新商品企画、営業手法改善、チャネル設計などに対して提案する役割を担うことも期待されます。日々の打ち合わせや会議などで共有することで営業部として戦略を考えていくきっかけになる場合もあります。

成果管理者

営業目標を掲げられ、それを達成する責任を負う存在です。基本的に役職のある人のことで売上や案件予算、チームの成果管理・育成責任も伴います。営業職の場合、企業規模にもよりますが、役職があってもプレイングマネージャーであることはよくあります。

小規模の会社の場合はトップが営業の先頭に立っているケースも珍しくありません。


営業に向いている人・そうでない人

営業という仕事は華やかさが語られがちですが、実際には高いストレス耐性や柔軟性、継続力が求められます。以下は「向いている/苦手になりやすい傾向」の整理です。

5.1 向いている傾向がある人

  • コミュニケーション力・傾聴力がある
  • 課題を見つける好奇心がある
  • 粘り強さ・継続力がある
  • 数字を目標に追うことに抵抗がない
  • 自律的に動ける(自己マネジメント力)
  • 対人折衝力・説得力がある
  • 変化適応力がある(業界・顧客・環境が変わることもあるため)
  • 担当顧客に対して真摯さを持って取り組める

5.2 苦手になりやすい傾向

  • 拒否に弱い(断られることを過度にストレスと感じる)
  • ルーチン業務しかこなしたくない
  • 自己主張が苦手・引っ込み思案な性格
  • スケジュール管理・タスク管理が不得手
  • ストレス耐性が低い
  • 対面や折衝といった対人活動に苦手意識がある

ただし、“苦手”だからといって営業ができないわけではなく、自分の強みを生かす営業スタイル(リレーション型、インサイド型、技術営業など)を選ぶことでフィットする可能性も十分あります。

私自身営業職を20年以上続けていますが、決してコミュニケーション能力が高いわけではなく、どちらかというと傾聴力が高いと思っています。相手の話を聞くことで、その会話の中からヒントを見つけ出し次の提案を持っていくというのが基本的なスタイルです。また基本的な依頼事として見積依頼や在庫確認などがありますが、こちらは即対応が基本です。日々の営業の中でこれが出来ているだけでも顧客からの信頼度は高くなっていきます。


6. まとめ・読者へのメッセージ

営業職は、「モノを売る」だけではなく、顧客の課題を発見し、解決を伴走し、社内外を調整しながら売上を生み、信頼を守る「総合力の職種」です。

1日の動き方も、訪問型、インサイド型、既存重視型・新規開拓型など多様であり、自分がやりたい営業スタイルをあらかじめ理解しておくことが大切です。

また、営業職には顧客向け・社内向けの “顔” があり、対外的な提案力・交渉力だけでなく、社内説得力や調整力、戦略発想も求められます。

40代でキャリアを見直す読者にお伝えしたいのは、営業は年齢を重ねても活かせる職能が多く、現場経験・人脈・顧客理解力を活かして次のステージにステップアップしやすいという面もあります。

ただし、最初に述べたように、営業の実態は会社や商材によって変わるため、応募前や面接前に「この会社の営業スタイル(訪問重視/内勤重視/既存中心/新規中心)はどうか」「営業に必要な社内折衝力や裁量はどの程度か」などを確認することが肝要です。

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