
営業職は「残業が多い」と言われがちですが、実際どのくらいが相場なのか、そして業界でどう違うのかは意外と知られていません。この記事では、筆者の実体験(前職:100%残業申請で20〜30時間/月、現職:固定残業約45時間込みの給与・実残業20〜25時間/月)と公的・民間の調査を組み合わせ、営業職×業界別にわかりやすく解説します。
営業職における残業とは?(定義/内訳/みなし残業の注意点)
残業の定義と基本
- 所定労働時間(多くは1日8時間・週40時間)を超えた時間外労働は割増賃金の対象。
- 社内の就業規則で定める所定労働時間を超える勤務も「残業」として取り扱われることが一般的。
営業の残業が発生しやすい理由
- 顧客都合の時間外対応:夕方以降の商談、急な連絡、クレーム・トラブル対応など。
- 移動と帰社後の内勤:訪問後に日報・提案書・見積・メール返信などの無形労務が発生。
- 繁忙期の山:月末/四半期末/決算期に業務が集中し、残業が伸びやすい。
「固定残業(みなし残業)込み給与」の要点
- 固定残業代は「何時間・いくら」かが求人票・雇用契約で明示されているか確認。
- みなし時間を超えた分は別途支給の取り扱いか、勤怠と連動しているかを要チェック。
- 基本給と固定残業代の内訳の透明性が大切。面接で必ず質問を。
最新データで見る残業時間の相場(全体→営業→あなたの実績に位置づけ)
全体平均の目安
近年の調査では、ビジネスパーソン全体の平均残業は約21時間/月前後という結果が多く、0~5時間未満が最多層という構成も見られます。もっとも、職種・会社規模・繁忙期の有無でばらつきが出るため、「自分の業務特性」と合わせた評価が必要です。
ラフの実体験に基づく個人データ
- 前職:100%残業申請で20〜30時間/月
- 現職:固定残業約45時間込みの給与設計、実残業20〜25時間/月
上記の実績は、全体平均21時間の近辺~やや上に位置しつつ、業界・繁忙期の影響を受ける一般的なレンジに収まっていると言えます。
(参照)doda「平均残業時間の実態調査
前職の場合、直近に所属した部署での残業時間です。入社して2年目の部署では100時間/月が当たり前で当時は20代半ばで体力もあったので何とかなりましたが、実際にうつ状態に近い状態まで追い込まれていました。そういう意味では同じ会社でも部署により状況が違うということもあると思います。
固定残業と実残業のギャップ
固定残業(みなし残業)時間と実残業時間の乖離は、未払いトラブルの温床になりがちです。勤怠の実績管理、超過分の支給ルール、評価・人事制度との整合は必ず把握しましょう。
営業職×業界別の残業時間を比較(ざっくり目安)
同じ「営業」でも、商材・客層・営業形態(個人/法人、ルート/新規、対面/インサイド)で残業は大きく変動します。以下は近年の公開情報をもとにした目安です。社風や業務設計で上下しますので参考値としてご覧ください。
業界×営業 | 月間残業の目安(時間) |
---|---|
IT営業 | 約25 |
電気/機械メーカーの営業 | 約24 |
食品・消費財メーカーの営業 | 約18 |
化学/素材メーカーの営業 | 約16 |
医療機器メーカーの営業 | 約25 |
金融業界の法人営業 | 約28 |
金融業界の個人営業 | 約17 |
総合商社の営業 | 約29 |
専門商社の営業 | 約31 |
不動産/建設営業 | 約23 |
広告営業 | 約30 |
人材サービスの営業 | 約27 |
旅行関連の営業 | 約21 |
小売/外食の営業 | 約22 |
出典:doda「平均残業時間の実態調査」および各職種図鑑ページ
表の読み方と注意
- 繁忙期(商戦期・決算・新製品ローンチ)で増加しやすい。
- ルート vs 新規、個人 vs 法人で傾向が異なる。
- 移動時間の長さや内勤比率、SFA/CRM活用の度合いで実残業は上下。
転職活動時の残業時間に対する考え方・確認事項
面接時や転職活動中に残業に関するチェックポイント
- 固定残業代の内訳:何時間分・いくらが明示されているか。
- 超過分の扱い:超過時の支払い/調整の有無と運用実態。
- 基本給との区分:求人票・契約書で明確か。
- 勤怠システム:実残業を正確に記録・申請できるか。
私の場合現職は45時間の残業で特定の金額の残業代が記載されています。超過分に関しても45時間を超えた分に関して、決まった金額の残業代が支払われるという形になっています。
④の勤怠システムに関しては会社によって異なりますが、私の場合は営業の出先でスマホから打刻が出来るような仕組みがあり、直帰する場合もちゃんと正確に記録ができるようになっています。ちなみにこの仕組みは前職の時も同様の仕組みが入っていたので残業に関しては正確なものが出せていたと思います。(たまに打刻漏れがあり、その場合は後日上長へ報告していました)
面接を受けられる会社に対して、①~④に関しては明確にしておけばある程度不安はなくなると思います。
ただ、一般的には残業代はみなし残業でなく、別途支給で1分から申請できる会社がホワイトとされています。20時間程度のみなし残業であれば、営業職としては十分にあることなのでみなし残業でも良いと思いますが、40時間をみなし残業で出す会社は、実際にはそれ以上の残業が見込みまれるケースがあり、その点はよく確認が必要となります。私も転職活動中に60時間のみなし残業という求人を見かけました。
ラフの前職と現職の残業時間に関して
実は私の場合、前職は以前は35時間のみなし残業代があったのですが、退職する数年前に残業代は別途支給1分からと待遇が変わりました。本来なら喜ばしいことなのですが、20年近く勤めた会社なので営業以外の処理に関しては、かなり早かったこともあり、残業自体がかなり減ってしまいました。それに伴い残業代が減ってしまい、結果的に給与が下がってしまいました。
みなし残業がなくなった時点で、その分の基本給が上がれば全く問題なかったのですが、基本給はそのままに残業が1分からの申請に仕組みが変わったため手取りが減ってしまうというのは私としては本末転倒。そういう理由で現在の45時間みなし残業を受け入れました。結果として収入も上がったのでこれはこれでよかったと思っています。
みなし残業の会社で働く際に残業をどう減らすか
- 移動・待機時間の内勤化:モバイルでメール/営業先の商談結果報告
- 締め日前倒し運用:締めのある作業の前倒し/提案書等をアポイント1週間前に作成
- 業務の可視化:週次で時間を食うタスクを棚卸し、ムダの削減
- SFA/CRMの型化:入力テンプレ・自動レポートでナレッジを循環
①に関しては、コロナ禍以降は割と整ってきているのではないでしょうか。モバイルの活用ができるかどうかは、残業を減らすだけでなく、業務効率化という面で非常に重要な役割を持ちます。会社携帯を貸与されるかどうかも大事なポイントになってきます。
②営業職は月の中で様々な業務を行いますが、日々目の前にあることに追われると見えなくなってしまいますが、1か月全体で眺めてみると例えば、毎月中ごろに特定の先様と商談予定が入る、月末に提出する書類がある、など月の中で決まった時期に決まった処理ごとがあるケースが非常に多いです。それらを前倒しするなどで全体の流れを前倒ししていくことは非常に重要になってきます。
そのためにも③の業務の可視化は重要な作業となります。私の場合は、顧客訪問に際して
- 訪問目的の明確化
- アポイントを取る
- 商談資料の作成
- 実際に訪問
- 日報での報告、また商談の内容により上長へ相談等
このようにタスクを細分化することで日々のスケジュールを可能な限り最大化していくことを心がけています。これによりどの時間帯にどの作業をするかスケジューリングしていき残業時間を出来るだけ残業時間を減らす工夫をしています。
まとめ
- 全体平均は約21時間/月が目安。営業は業界により15〜30時間前後に分散。
- 筆者の実績:20〜25時間/月は中位圏。固定45時間契約とのギャップ管理が重要。
- 転職時はみなし時間・超過払い・繁忙期の実態を具体的に確認しよう。
営業職において、20時間程度の残業は必要となります。会社によってはもっと必要なところもあります。それを踏まえて、貴方のライフスタイルに可能な限り合うような求人を探しましょう。
よくある質問(FAQ)
固定残業45時間込みの求人は避けるべき? 一概にNGではありません。
何時間・いくらの明示、超過分の支払い、実残業レンジが合っていれば選択肢になり得ます。
残業が少ない営業は?消費財/食品、化学・素材の一部は比較的低めの傾向。ただし商戦期や販促の繁忙で増える場合があります。