複数の転職エージェントから同じ求人が届いた時の正しい対処法｜40代転職の実体験から解説

複数の転職エージェントから同じ求人を紹介されるのは普通に起きる

まずお伝えしたいのは、「複数のエージェントから同じ求人を紹介されること自体は珍しくない」という事実です。特に、40代で営業職のような「即戦力」が求められるポジションでは、同じ企業が複数の転職エージェントに依頼しているケースが多くなります。

企業側からすると、「良い人がいたら早く会いたい」というのが本音です。そのため、あえて複数のエージェントに求人を出し、できるだけ多くの候補者にリーチしようとします。その結果、転職者側には同じ求人が別ルートから届く、という状況が生まれます。

実際に私は複数回、2社以上のエージェントから同じ求人を案内されたことがあります。特に、「新しい新規ポジションの立ち上げ」や「規模を拡大中のための新規募集」といった案件にそのような傾向がみられるように感じました。

なぜ同じ求人が複数ルートで届くのか

理由はシンプルで、企業が複数のエージェントに同時並行で依頼しているからです。エージェント同士は基本的に連携していないため、「A社のこの求人、他社でも扱っている」と分かっていても、あなたにとってベストだと思うタイミングで紹介してきます。

また、ビズリーチのようなスカウト型サービス経由で接点を持ったエージェント同士が、結果的に同じ求人を取り扱っていた、というパターンも実際に起こりえます。40代・ミドル層向けの求人は数自体がそこまで多くないため、「かぶりやすい」環境でもあるのです。

40代転職で特に発生しやすい理由

40代の営業職となると、企業は「新規も既存も任せられる即戦力」「顧客との関係構築ができる人」を求める傾向が強くなります。いわゆる“ミドル層”に該当するため、若手よりも採用ハードルは上がる一方で、ポジションが出たときには本気で採用したい、という状況になりやすいのです。

そのため、企業は最初から一社のエージェントに絞るのではなく、複数社へ並行して依頼し、「いい人がいればそのルートで決める」というスタンスを取るのも納得がいきます。その結果、転職者側の画面には「同じ求人」が複数エージェントから届く、という現象が発生します。

実体験①｜二つのエージェントから同じ求人を紹介された日

私がこの「同じ求人かぶり」を初めて体験したのは、転職活動を始めてまだそれほど時間が経っていない頃でした。ある食品・飲料系の営業職求人について、あるA社のエージェントから、２～３日後にB社のエージェントから、ほぼ同じ内容の求人票が届いたのです。

仕事内容も勤務地も、年収レンジもほぼ一致。メールを見比べてみると、「これはどう見ても同じ求人だな」とすぐに分かりました。

実際に両方の案内を聞きましたが、社名が同じでした。

同じ求人が届いたときの私の初期判断

このとき私が最初に考えたのは、「どちらのエージェント経由で応募するか」でした。

40代の転職は、20代の頃のように「とりあえず応募してから考える」というノリでは進められません。一つひとつの応募に対して、企業側も本気ですし、こちらもエージェントも限られたリソースで動いています。

そこで私は、「最初に紹介してくれたエージェントを優先する」という基準をとりました。先に動いてくれた人への筋を通す、という意味もありましたし、そのエージェントとはそれまでのやり取りもスムーズで、一定の信頼感があったからです。

「最初に紹介してくれたエージェントを選ぶ」という基準

複数エージェントを併用していると、どうしても「どちらを優先すべきか」という問題が出てきます。私は基本方針として、

• 先に求人を紹介してくれたエージェントを優先する
• 以降、同じ求人が他エージェントから来た場合は丁寧にお断りする

というルールを自分の中で決めていました。こうしておくことで、応募経路が二重になることを防げますし、エージェント側にも「この方はちゃんと筋を通している」と感じてもらえると考えたからです。

実体験②｜応募後に“連絡が途絶えた”エージェントの不備

しかし、この「先に依頼したエージェントを優先する」というルールが、思わぬ形で揺さぶられる出来事がありました。

A社のエージェントに「ぜひ応募をお願いします」と伝えた後、私は必要書類を整え、職務経歴書も最新の状態に更新し、担当者へ送付しましました。担当者からは「企業へ推薦しますので、お返事があり次第ご連絡します」と言われ、一旦は安心して他の求人チェックに移っていました。

応募したのに返信なし → 疑念と不安

ところが、2日経っても3日経っても、エージェントからの連絡はありませんでした。最初は「今は企業側の選考が立て込んでいるのかもしれない」と思っていましたが、日数が増えるにつれ、だんだん不安が大きくなってきました。

１週間ほどでどうしても気になり、こちらからA社の担当者にメールで確認してみると、「企業側に確認しますので少々お待ちください」という定型文のような返事だけが返ってきました。その後も特に返事等はなく、何となくモヤモヤした気持ちだけが積み重なっていきました。

別のエージェントに相談して分かった“衝撃の事実”

そんな中、同じ求人を紹介してくれていたB社のエージェントから、「あの求人、応募状況はいかがですか？」と連絡が入りました。そこで、正直に今の状況を打ち明けました。

するとB社の担当者から、こんな言葉が返ってきました。

「その様子ですと、そもそも企業に推薦が送られていないかもしれません。一度、企業側に直接確認してみますね。」

しばらくして戻ってきた回答は、

「現時点で、あなたのお名前での推薦は届いていません。」

つまり、私は「応募したつもり」になっていただけで、実際には何も進んでいなかったのです。

推薦が企業に送られていないケースの実態

これは想像になってしまいますが、恐らくA社のエージェント側で、社内のシステム登録や推薦手続きが途中で止まってしまっていたと思われます。きっと担当者も悪意があったわけではなく、単純なミスと忙しさが重なった結果の「うっかり」なのだろうと推察します。

ですが、転職者からすれば、これはかなり致命的なミスです。もしB社に相談していなければ、私は本気で挑戦したい求人のチャンスそのものを失っていたかもしれません。

複数エージェント利用時に絶対に避けたい「二重応募」の落とし穴

ここで注意したいのが、同じ求人に複数のエージェント経由で応募してしまう「二重応募」のリスクです。

企業側から見ると、同じ候補者の書類が違うエージェントから複数届くことになります。これは単純に事務処理が煩雑になるだけでなく、

• この候補者は応募経路を管理できていないのでは？
• どのエージェント経由で話を進めればいいのか分からない

といったマイナスの印象につながる可能性があります。

どんな時に二重応募が起きるのか

二重応募が発生しやすいのは、以下のようなケースです。

• 複数エージェントから同じ求人が届き、深く考えずにそれぞれに「応募でお願いします」と伝えてしまった
• 以前応募した求人であることを忘れてしまい、別のエージェント経由でもう一度応募してしまった
• エージェント同士の情報共有がないため、応募状況が自分の手元でも混乱している

40代の転職では、応募企業数自体はそこまで多くないかもしれませんが、その分一社一社の重みが大きくなります。だからこそ、自分で応募経路をしっかり管理する意識が重要になります。

企業からの印象悪化ポイント

正直なところ、二重応募をしたからといって即アウト、というわけではありません。エージェント側で調整が入り、何事もなかったかのように選考が進むケースもあります。

しかし、企業の人事担当者も人間です。「この候補者、ちょっと雑だな」と感じさせてしまった時点で、評価に影響しないとは言い切れません。特に40代のミドル層では、「ビジネスパーソンとしての基本」が問われるかもしれません。

40代が特に気をつけるべき理由

40代の候補者に対して企業が期待するのは、「自分のことは自分できちんと管理できる人」です。顧客とのやり取りやプロジェクトの進行を任せる前提で採用するわけですから、応募経路すら整理できていないとなると、「業務面でもミスが多いのでは？」と見られてしまう可能性があります。

だからこそ、複数エージェントを併用するなら、なおさら“応募管理”は丁寧に行うべきだと感じています。

同じ求人を複数エージェントから紹介された時の“正しい判断基準”

では、実際に同じ求人を複数のエージェントから紹介されたとき、どう判断するのが良いのでしょうか。私自身の経験も踏まえ、いくつかの基準を整理してみます。

① 信頼できるエージェントを優先する

もし、同じ求人を案内頂くタイミングが同じで、どのエージェントから応募するべきか悩んだなら最も大事なのは「この人なら任せられる」と思える信頼できるエージェントを選ぶことです。同じ求人であっても、

• 企業の内情や募集背景をどれだけ詳しく説明してくれるか
• こちらの経歴や希望をどこまで理解してくれているか
• 懸念点も含めて率直に話してくれるか

といった点は担当者によって大きく差があります。40代の転職では、この「質の差」がそのまま書類通過率や面接のやりやすさに影響します。

② 情報量・企業理解度で判断する

同じ求人でも、エージェントによって持っている情報の厚みが違います。

• なぜこのポジションが募集されているのか（増員なのか、欠員補充なのか）
• 前任者はどのようなタイプだったのか
• 入社後に期待される役割は何か

こうした情報を具体的に教えてくれるエージェントは、それだけ企業との関係性が深い証拠でもあります。その意味でも、単に「紹介が早かった方」ではなく、「より企業のことを理解しているエージェント」を優先した方が、結果として転職活動はスムーズに進みやすくなります。

やはり、エージェントも営業、顧客である採用企業側とちゃんと関係を築けている担当者は持っている情報の厚みが違いますし、それが私に合う理由などもちゃんと考えて提案してきてくれます。

③ 推薦文の質を重視する

意外と知られていないのが、エージェントが企業に送る推薦文の質です。同じ職務経歴書でも、エージェントが「どこを強みとして推すか」「どういう言葉で表現するか」によって、受け取る側の印象は大きく変わります。

面談の中で、あなたの強みやキャリアの背景をしっかりと聞き出してくれるエージェントは、推薦文も丁寧に書いてくれる可能性が高いです。逆に、表面的なヒアリングしかしてくれないエージェントは、推薦もどこか薄くなりがちです。

ヒアリングはエージェントとの最初の面談時に色々と聞かれるのでそれにこたえる形で進んでいきます。その時に聞かれながらもその担当者の熱心具合や信頼できる方かどうか判断していく必要があります。

④ どうしても迷う時は「より早い紹介」を参考に

信頼度や情報量がほぼ同じで迷う場合は、「先に紹介してくれた方」「より早く動いてくれた方」を優先するのも一つの考え方です。

私の場合は同時に同じ求人を勧められることが少なく、基本的に１番最初に紹介してくれたエージェントから申し込みをしていました。先ほど書いたように、１番目のエージェントがちゃんとしていなかった場合は他に案内のあったエージェントを通じて申し込みをしていました。

実際に1番目に案内をもらって申し込みをして、結果不採用の連絡があり、残念がっていたところに別のエージェントから同じ求人で案内をもらうというケースもありました。こういうケースでは、「なかなか決まらない難しい案件」「実は結構気難しい職場なのでは？」と考えて、あまり固執せず次へ行くようにしていました。

ただし、複数のエージェントから選べるという状況であるならば、基本路線はあくまで「信頼できるエージェント」「情報量が豊富なエージェント」を優先し、どうしても甲乙つけがたいときだけ「タイミング」を判断材料にする、というイメージで良いと思います。

もしエージェントの不備があったら？ 別エージェントから応募してもOK？

ここで、冒頭の私の体験談に戻ります。
A社経由で応募をお願いしたにもかかわらず、実際には推薦が企業に届いていなかったというケースです。

このような場合、別のエージェントから応募し直しても問題ないのか？と不安に思う方もいるかもしれません。

結論：推薦が企業へ届いていなければ問題なし

結論から言うと、企業側に推薦が一切届いていないのであれば、別のエージェントから応募しても基本的に問題はありません。実際、私もB社のエージェント経由で正式に応募し、その後の選考は問題なく進みました。

重要なのは、「本当に推薦が届いていないか」をしっかり確認することです。ここをあいまいなままにして別エージェントから応募してしまうと、二重応募になってしまう可能性があります。

推薦済みだった場合の正しい手順（辞退→再応募の流れ）

もし最初のエージェントがすでに企業に推薦を送っていた場合は、以下のような流れを踏むと安心です。

1. 最初のエージェントに「今回は一旦辞退したい」と伝え、企業側にもその旨を連絡してもらう
2. 辞退処理が完了したことを確認する
3. 別のエージェントに事情を正直に話し、再応募が可能かどうか相談する

企業側の判断にもよりますが、事情をきちんと説明すれば「エージェントを変えての再応募」を受け入れてくれるケースもあります。大事なのは、自分だけで勝手に動かず、必ずエージェントを介して企業と調整してもらうことです。

エージェントとのやり取りテンプレート

実際に私が使ったのに近い表現を挙げておきます。メールでも口頭でも使えるフレーズです。

• 「こちらの求人については、別のエージェントさん経由で応募を進めておりますので、こちらの案件に関しては辞退させていただきます。」
• 「以前、別エージェント経由で応募した可能性があります。企業側に推薦状況をご確認いただけますか？」

このように伝えることで、「応募経路をきちんと管理している候補者」というポジティブな印象を与えることができます。

応募企業名が分かっている場合はこのような状況にはならない

そもそもの話として同じ案件を頂いた際に応募企業が分かっているならば、二重応募のようなことは起こらないはずです。もし応募簿意思表示後、同じ案件だと分かった場合は推薦状況の確認を依頼すると良いでしょう。

一度落ちた企業に対してたまたま別のエージェントから案内があって、どうしても再応募したい時はちゃんと事実を伝えましょう。

40代営業職がエージェント併用で損しないための3つのコツ

最後に、私が複数エージェントを併用する中で「これはやっておいて良かった」と感じているポイントを3つにまとめます。

① 求人管理シートを作る

Excelやスプレッドシートで構わないので、

• 企業名
• ポジション名
• 紹介してくれたエージェント名
• 応募した／検討中／辞退 などのステータス
• 応募日・面接日・結果

といった情報を一覧で管理しておくと、二重応募を防ぐのに非常に役立ちます。特に40代の転職では、1件1件の選考に対する重みが大きいため、「覚えているつもり」ではなく「見える化」しておくことをおすすめします。

② 応募経路は必ず一本化する

同じ求人については、どのエージェント経由で応募するかのルールを最初に決めてしまい、それ以外は丁寧にお断りする。このルールを徹底するだけで、二重応募のリスクはかなり減ります。

また、「最初に紹介してくれた」「信頼できる」といった自分なりの基準をあらかじめ持っておくと、その場の直感だけに頼らず、ブレない判断がしやすくなります。

私は先ほども書きましたが、基本的に「1番目に案内をくれたエージェントから応募する」を徹底していました。1社目の担当者が実は応募していないなど選考が進んでないと感じるときだけ2社目の方に確認依頼するようにしていました。

③ エージェントとの距離感を調整する

複数のエージェントとやり取りをしていると、「誰にどこまで話しているか」が自分でも分からなくなりがちです。40代の場合、仕事と並行して転職活動をすることも多く、情報量に頭が追いつかない感覚になることもあります。

そんなときは、あえてエージェントとの距離感を見直してみるのも一つの方法です。「この人とは深く付き合う」「この人とは情報収集メイン」のように役割を分けてしまうと、転職活動がぐっと整理されます。

また、ビズリーチのような転職サイト経由で案内が来る求人の場合、その求人だけを目的にした接触が多いため一度きりの案内になるケースも多いです。こういうケースの場合は一度面談を受けたのち、応募は少し考えるというスタンスで時間を置いて他社からの案内が来ないか待ってみるのも一つの手かもしれません。

まとめ｜エージェント併用は便利だが“判断軸”を間違えると危険

複数の転職エージェントを併用すること自体は、40代の転職でも十分に有効な戦略です。むしろ、情報量や選択肢を増やすという意味では、併用した方がメリットは大きいと感じています。

しかしその一方で、「同じ求人をどのエージェント経由で応募するか」という判断軸を間違えると、二重応募のリスクや、せっかくのチャンスを逃す危険性も潜んでいます。

私自身の経験から言えるのは、

• 信頼できるエージェントを軸にすること
• 応募経路を自分でしっかり管理すること
• 不安や違和感があれば、別のエージェントに相談する勇気を持つこと

この3つを意識するだけで、40代の転職活動はずっと進めやすくなります。

もしあなたが今、複数のエージェントから同じ求人を紹介されて迷っているなら、この記事でお伝えした私の体験と判断基準が、少しでも参考になればうれしいです。

そして、「40代で転職なんて遅いのでは？」と感じている方には、同じく私が44歳で初めて転職したときの体験談も、ぜひ読んでみてください。

関連記事

▶転職エージェントの片面型と両面型、実際に使ってみてわかったメリット・デメリット
▶40代営業職の転職攻略｜企業スカウトとヘッドハンターの正しい併用方法【ビズリーチ活用】
▶40代転職の成功のカギを握る“非公開求人”に出会うには
▶営業職だからこそわかる！転職エージェント／ヘッドハンターが音信不通になる理由
▶【ラフのおすすめ】40代の転職を成功に導くおすすめ転職サービス徹底解説