40代の転職で年収交渉は避けて通れません。にもかかわらず、転職エージェントの助言が真逆になることもあり、「任せて大丈夫?」と不安になる方は多いはず。本記事では、前職580万円→転職後610万円(+30万円)に着地した実体験をもとに、失敗例(エージェントA)と成功例(エージェントB)を対比。希望年収は自分の言葉で伝えるべき理由と、求人票レンジを踏まえた実践的な年収交渉の進め方を詳しく解説します。
40代は「受け身の交渉」で損をする:任せきりの危険性
中途採用の40代は企業から即戦力を期待されるぶん、年収=期待値の指標になりやすいフェーズです。ところが、面接で「年収は御社にお任せします」と答えると、採用側は自己評価や計画性が不明確と受け取り、評価が下がることがあります。エージェントの助言は有益ですが、主導権は自分が持つことが基本。年収交渉はキャリア価値を言語化して伝える行為だからです。
実データ(私のケース)
- 前職年収:580万円
- 応募先Aの求人票レンジ:400〜650万円
- 応募先Bの求人票レンジ:600〜750万円
- 交渉方針:「前職と同レベル以上」で交渉
- 最終オファー:610万円(+30万円)
この前提のもと、エージェントの助言が変わるだけで、面接官の反応と交渉の流れが大きく変わりました。
失敗例:エージェントAの「御社に従います」指示で印象ダウン
面接前にエージェントAから言われたのは、次の一言でした。
「希望年収を聞かれたら『御社の提示される金額に従います』と答えてください」
その通りに返答したところ、面接官は訝しげな表情に。「本当にそれで良いのですか?」と逆に不安を持たれる展開に。理由は明確です。現職が580万円にも関わらず、求人票が400〜650万円のレンジに対して、私自身が希望年収の基準を示さないことが違和感のあるものにと映ったからです。もし内定を出して400万円で提示したら、それを受け入れるのですか?と捉えられてしまいました。もちろん、結果は落ちてしまいました。
この失敗から得た教訓
- 求人票レンジを把握し、希望年収を明言するのは応募者の責任。
- 「お任せ」は主導権放棄のサイン。40代の経験者採用ではマイナスに働きやすい。
- 金額を言わないと、下限寄りでの提示や評価の保留を招きやすい。
もちろん、求人の年収レンジによってはお任せしても良いケースもあると思います。例えば、現職が580万円で、求人票の年収レンジが700~900万円だったなら、900万円と伝えるよりもお任せと伝えても良いと思います。でも私の場合は希望年収を伝えないことが悪い結果になりました。
成功例:エージェントBの「ご自身で希望を伝えてください」で一気に前進
別の選考では、エージェントBから正反対の指示がありました。
「面接で希望年収を聞かれたら、ご自身で希望年収を伝えてください。」
私は次の根拠で前職と同等以上を明確に提示。
- 前職年収:580万円
- 求人票レンジ:600〜750万円
- 提供価値:業界知見/顧客基盤/即戦力の営業実績
すると面接官はスムーズに了承してくれ、結果610万円でのオファーとなりました。もちろん失敗例と異なり、もともとの求人票の年収レンジが高かったのも大きな要因です。
逆に年収レンジが500万円~550万円とあるのに現職以上と伝えてしまうと、採用側からすると予定より高い年収になるため、採用するとしても活躍の期待値が相当高くなってしまうと思われます。
成功を引き寄せた3要素
- 数字で語れる実績(売上・開拓件数・既存の深耕率など)を短く要約。
- レンジの正確な把握と「同等以上」という妥当性のあるライン設定。
- 相手のニーズ(即戦力)に結びつく貢献イメージを事前に言語化。
対比で分かる結論:希望年収を伝えるかは求人票次第
| 項目 | 失敗(エージェントA) | 成功(エージェントB) |
|---|---|---|
| 面接での回答 | 「御社の金額に従います」 | 「前職580万・レンジ600〜750万を踏まえ、同等以上を希望します」 |
| 採用側の受け取り | 自己評価が曖昧/期待値が設定しにくい | 根拠が明確/評価の物差しが共有できる |
| 交渉の主導権 | 企業側へ丸投げ | 応募者が軸を持つ |
| オファーの流れ | 条件が下振れ・停滞しやすい | スムーズに進行・610万円で合意 |
上記の通り、私の経験では自分で伝えた結果年収アップにつながりました。これはその前の失敗の事例があったからこそできたことです。
40代の年収交渉:今日から実践できる「準備」と「言い方」
準備①:求人票レンジ×役割×期待成果をひとまとめに
- レンジ(例:600〜750万)
- 役割(例:新規開拓×既存深耕、主要顧客群、担当領域)
- 期待成果(例:半年での売上目標・主要KPI)
この3点を事前にセットで理解すると、希望年収の妥当性を説明しやすくなります。
準備②:実績は「数字+背景」で短く言語化
- 売上/粗利:年間◯千万円・前年対比◯%
- 開拓件数・継続率:新規◯社、既存◯%維持
- 担当市場・強み:食品・飲料×量販チャネルに精通
数字単体ではなく、「市場や顧客の背景」とセットで語ると説得力が増します。
準備③:希望年収ラインの決め方
- 最低限受け入れ可能ライン(例:前職同等)
- ターゲットライン(例:レンジ中央値〜上位1/3)
- ストレッチライン(根拠が明確に語れる範囲)
そのまま使える一言フレーズ
- 「前職580万円でしたので現職以上の年収を希望します。」
- 「直近の実績(新規・既存の数字)と立ち上がりの再現性を踏まえ、600万円台後半〜をご検討いただけますと幸いです。」
出来る限り現職より低い年収を自分で提示するのはやめましょう。40代の転職で年収が下がってしまうと、仮にその後次の転職を考えたときに、また下がってしまうというサイクルに陥ってしまう可能性が高くなってしまいます。
「言い値で動かない」ためのチェックリスト
- 求人票レンジ(例:600〜750万)を把握したか。
- 希望年収(最低/ターゲット/ストレッチ)が言えるか。
- 希望額の根拠(実績・再現性・貢献領域)を3点で語れるか。
- 総報酬(賞与・インセン・昇給・残業)を確認したか。
年収だけ見て失敗しない:必ず「総報酬」で比較する
提示額が上がっても、賞与の評価基準や対象期間、インセンティブの上限、昇給サイクル、みなし残業などによって、実質の手取りが下がることがあります。内定通知書・雇用契約書で必ず確認しましょう。
- 固定給(基本給/等級)
- 賞与(評価軸・期間・支給タイミング)
- インセンティブ(上限・支給条件・査定方法)
- 昇給(タイミング・平均率・評価プロセス)
- 残業(みなし時間・超過分の扱い)
- 福利厚生(交通費・リモート手当・退職金など)
ちなみに私の場合は日系から外資系に移ったため、手当ては一切なくなりましたが、それも全部含めた基本給+みなし残業代+インセンティブ(+交通費)という非常にシンプルな構成になりました。
↓合わせて読みたい↓
▶【実体験】外資系に勤めて分かったこと|年俸制に変わってよかった本当の理由
FAQ:年収交渉でよくある質問
Q. 希望年収はいつ伝えるべき?
A. 面接で聞かれた際が、一番言いやすいです。私の経験上、自分から言ったことはないです。
Q. 強気で言っても大丈夫?
A. レンジと役割に照らした根拠を語れる範囲であれば良いと思います。
レンジ外の強気提示はかえって採用自体見送られる可能性もあるので注意です。
Q. エージェントの意見が割れたら?
A. それぞれの根拠を聞き、レンジ・企業フェーズ・自分の実績と整合する方針を採用。
迷えば「前職同等以上」を基準にするのたベターかと思います。
結論:相手の任せずに、希望年収は自分の言葉で
年収交渉はキャリア価値の提示です。40代の経験者採用では、求人票レンジと自分の実績を根拠に、希望年収を明確に伝えることが成功の近道。私自身、580万円→610万円にアップできたのは、「前職と同等以上」という妥当なラインを自分の言葉で提示し、相手の期待値と合意形成をスムーズにできたからです。
もちろんご自身の価値をもっと大きく評価されると判断されれば強気な交渉もありだと私は思います。私自身は中小企業1社経験でもっているスキル等も勘案して現職以上というのが、精一杯でした。

